北海道大学/大学院教育学研究院/教育学部
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専門分野

教育史

学部所属

教育基礎論分野

学院所属

学校教育論講座

メッセージ

手っ取り早い「わかりやすさ」を疑う力を鍛えていくこと。既存のものを批判するだけではなく、自分なりの対案を提示する力へとつなげていくこと。そのような場を創っていければと思います。

 

専門領域

 教育の歴史、台湾先住民族の近代史、植民地主義の歴史と現在

 

研究テーマ

 子どもたちが近代学校に通うようになる歴史過程を、民族的・文化的マイノリティに焦点をあてて研究しています。

 

研究の内容を表すキーワード

 植民地主義 近代 先住民族 台湾 アジア 教育経験 植民地経験

 

研究の詳細な内容

 わたしは、アジアの中の〈日本〉という視角のもと、教育的営みをめぐる〈わたしたち〉の経験について考究しています。
 とりわけ、植民地台湾の先住民族の村々に学校ができ、子どもたちが学校に通うようになる歴史的な過程を、治安・殖産、生業・疾病といった事象との絡まりのなかに見いだし、学校に行く(行かせる)・行かない(行かせない)ことの意味や、子どもたちが身につける作法や知・技、ライフコースの変化といった問題を考えてきました。
 近年は、内務官僚としての挫折を機に植民地で再起の道を探った人物の記録や、北海道のアイヌ学校の教員として教育・研究に従事していた人物の記録、あるいは、東アジアに派遣された欧米プロテスタント宣教師たちの記録などの調査・読解を継続しています。これら個別具体的な人びとの足跡を媒介として、日本帝国内部における重層的な統治構造と、地球規模での植民地主義の競合・協調の関係とを視野に入れながら、〈文明〉ないし〈近代〉なるものの威力や魅力、暴力の作用について考えようとしています。
 先住民族や植民地をめぐる歴史は、〈差別-同化〉、〈抑圧-抵抗〉といった観点から論じられることが多いです。まずは、そのような一見わかりやすい概括にはおさまりきらない資料の断片と丁寧に向き合うこと。そのような作業を通じて、異なる時代・地域を生きた個々人の生に対する想像力を鍛えながら、現在のわたしたちの“常識”を捉え返す手がかりを探っていきたいと考えています。

 

略歴

 京都大学教育学部
 京都大学大学院教育学研究科
 国立台湾大学歴史学研究所
 日本学術振興会特別研究員
 北海道大学大学院教育学研究科助手/教育学研究院助教
 北海道大学大学院教育学研究院准教授

 

主な研究業績

Ⅰ.著書

  1. 『論集現代日本の教育史 第6巻 戦争と教育』(日本図書センター、2014年) *共編
  2. 『内海忠司日記 1940-1945 ―総力戦体制下の台湾と植民地官僚』(京都大学学術出版会、2014年) *共編
  3. 『吉田巖の「台湾学事視察旅行」関係資料』(帯広市教育委員会、2014年
  4. 『図説ユーラシアと日本の国境 ―ボーダー・ミュージアム』(北海道大学出版会、2014年)  *共著
  5. 『内海忠司日記 1928-1939 ―帝国日本の官僚と植民地台湾』(京都大学学術出版会、2012年) *共編
  6. 『日本植民地下の台湾先住民教育史』(北海道大学出版会、2008年)
  7. 『帝国と学校』(昭和堂、2007年) *共著

Ⅱ.学術論文

  1. 「台湾先住民族の歴史経験と植民地戦争 ―ロシン・ワタンにおける「待機」」(『思想』第1119号、2017年)
  2. 「「新化公学校沿革誌」「新化農業補習学校沿革誌」 ―植民地台湾の教育史」(『北海道大学大学院教育学研究院紀要』第126号、2016年) PDF   *共編
  3. 「「吉田巖遺稿資料」所収の台湾関係資料:概要と目録」(『教育史・比較教育論考』第21号、2014年) PDF
  4. 「パインアップル缶詰から見る台琉日関係史」(『境界研究』特別号、2013年) PDF
  5. 「「教育所ニ於ケル教育標準」(1928年)下の台湾先住民教育」(『日本の教育史学』第53集、2010年)
  6. 「「台湾原住民族にとっての霧社事件」を問う」(『日本台湾学会報』第12号、2010年) PDF

Ⅲ.研究動向・文献目録・翻訳等

  1. 「書評 山本和行著『自由・平等・植民地性 ―台湾における植民地教育制度の形成』」(『歴史学研究』第959号、2017年)
  2. 「〔特別企画 賴永祥長老史料庫〕豊富線索待深入探究」(『台湾教会公報』第3348期、2016年)
  3. (翻訳)李文良「日本統治初期台湾における「理蕃政策」」(『岩波講座 東アジア近現代通史3 世界戦争と改造』岩波書店、2010年)
  4. 「東洋教育史の研究動向」(『日本の教育史学』第53集、2010年)
  5. 「霧社事件関連文献目録」(『教育史・比較教育論考』第20号、2010年) PDF
  6. 「フォーラム「公教育のなかの境界」に寄せて」「全体討議」(『教育史・比較教育論考』第20号、2010年)PDF

Ⅳ.口頭発表

  1. 「植民地台湾における先住民の初等後教育 ―女性の進学とその前後」(教育史学会第60回大会、於横浜国立大学、2016年)
  2. 「台湾総督府東京出張所に関する史的素描 ―植民地統治のもうひとつの拠点」(日本台湾学会、於広島大学、2013年)
  3. 「植民地台湾における義務教育制度の施行」(教育史学会、於京都大学、2011年)
  4. 「内海忠司日記を通じて見る台湾総督府地方長官の活動と人的つながり」(日本台湾学会、於北海道大学、2010年)
  5. 「”Tanah Tunux”的來源 ―口述歴史和文獻資料之間」(「日本殖民主義與文化」工作坊、於成功大学(台南)、2009年)
  6. 「「教育所ニ於ケル教育標準」(1928年)下の台湾先住民教育」(教育史学会、於青山学院大学、2008年)

 

所属学会

教育史学会、日本台湾学会、植民地主義研究会

 

担当する授業

教育基礎論講義(教育の文化史)、専門演習(教育史)、学校教育特論(教育史)

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